インプラント治療の始まり



1965年にブローネマルク博士によって最初のインプラント治療が行われてから現在まで、全世界で数千万人の患者が治療を受けています。
正しい知識と技術をもって応用されれば、これに勝る治療はないと思っています。


インプラントの歴史




さて、インプラントの歴史はどのように始まったのでしょうか。
ブローネマルクは、スウェーデンのルンド大学医学部で1952年、ウサギにチタン製の生体顕微鏡を取り付け循環の観察実験を行っていました。
実験が終わり、その器具を外そうとした際チタンと骨がくっついたのだそうです。外せなくなったことにより、チタンと骨の組織が拒否反応を起こさず結合する現象であるオッセオインテグレーションを発見したということです。

金属と骨が結合する事は科学の常識にはなかったことで、信じがたいことだったようです。この状態を「オッセオインテグレーション」と名づけました。
オッセオインデグレーションは、このように偶然発見されたのです。

その後も研究が続けられ、1965年には現在主流となる世界初の純チタンによるデンタルインプラントシステムの臨床応用が始まりました。あらゆるデータを集め、チタンがある条件のもとでは生体において異物とみなされずに オッセオインテグレーションする性質を利用し、人工歯根(インプラント)システムを開発したといわれています。

偉大な発明も、最初は実験中の些細な気付きから発しているようです。チタンが骨から外れないことで、チタンと骨がしっかりと結合することに気づき、それを歯科インプラントに応用したブローネマルク教授は、現代の歯科医療に大変重要な足跡を残しました。

インプラントは骨と結合するのでしっかりと噛むことができ、何でも噛めることや他の歯を傷つけないことなどから、たくさんの患者さんに選ばれる治療法となっています。入れ歯が合わなくてずっと困っていた方がインプラントにされて良く噛めるようになったという例も多くあります。


日本におけるインプラントのはじまり




日本では1983年にブローネマルク教授が東京歯科大学に来て手術を執刀したのが始まりです。
1985年以降にはチタンの表層に厚さの異なったインプラントが開発され、これらは骨伝導能を持ち、HAと骨とが化学的に結合することが示され、以降各種インプラントが次々に開発される状況となっていったそうです。

1980年代、日本でもブローネマルクインプラントの販売が始まりましたが、ブローネマルク社の主催するトレーニングを受けた歯科医師のみに販売されることになっていたようです。他のインプラントメーカーも同じ形態をとり、トレーニングを受けていない歯科医師には販売することはなかったようですね。

1990年代に入り国内でインプラントを販売するメーカーが30社以上になり、トレーニングを受けていない歯科医師にも販売するメーカーもあるそうです。