インプラント発祥は3世紀の古代ローマ?



インプラントとは歯が抜けてなくなったところに穴を開け、天然歯の代わりにチタン製などの人工歯根(歯の根)を埋め込み、その上に人口の歯を作製する外科的治療方法のことです。失った歯を人工材料で補う試みは古くから行われてきたそうです。


3世紀の古代ローマ~7世紀のマヤ文明




人類が最初に歯にインプラントをしたのはいつ頃だと思われますか?
上顎骨に鉄製のインプラントが埋まった紀元2世紀から3世紀の古代ローマ時代の人骨が発見されています。

また、7世紀のマヤ文明の遺跡で発掘された 20歳代女性の下顎骨には、天然の抜去歯2本と貝でできたインプラントが埋まっており、歯石がついている事、周囲に骨造成がエックス線検査で確認できる事からかなり長期に機能した事を示しており、世界で最初の実用に耐えたインプラントだと考えられています。

ずいぶん古い歴史があることに驚かれたのではないでしょうか? もちろんこれらは、今日行われているチタン製インプラントとは別物ですが、7世紀のマヤ文明のインプラントでインプラントの周囲に骨造成がみられることは大変興味深いと思います。


近代のインプラント~チタンインプラント




インプラントが臨床に登場したのは1910年代です。1913年にグリーンフィールドが円筒型のインプラントを開発し、これが近代インプラントの祖と評される事が多く、1930年代にはスクリュー型、1940年代にはらせん型のインプラントが考案されましたが、予後は著しく悪かったそうです。

1952年スウェーデンのルンド大学で研究を行っていたペル・イングヴァール・ブローネマルク教授によって、チタンが骨と結合することが発見され、チタンがインプラントに応用されるようになった事で、しっかりと骨に結合するインプラント治療が可能になりました。

1962年から人間に本格的にインプラント治療が行われるようになったのですが、ブローネマルク教授が歯科医師ではなかった事などがあり、普及には至らなかったそうです。

1978年に初のデンタルインプラントのコンセンサス会議が、ハーバード大学とアメリカ国立衛生研究所の共催で開催されました。この会議はデンタルインプラントのデータ収集と分析の評価基準と標準が確立された象徴的な会議であったと評価されています。

1982年のトロント会議。そこで予後15年の症例が報告され、一大センセーショナルを巻き起こし、北米を中心に普及が始まりました。(Weblio辞書引用)


再び噛めるようになりたいという人類の願い




歯についてはローマ時代から研究されていたとのことで、人類の歯科医療の歴史が古くからあったことがおわかりになったと思います。
永久歯を失ってしまうともうその後は歯が生えては来ません。歯がないと噛めなくて不便なのは昔も今も同じです。歯を失った後、何とかして以前のように何でも噛めるようになりたいという願いは、人類共通のものだったようです。

幸い、現代ではチタンインプラントによる治療が確立されており、多くの方がインプラントの恩恵を受けてしっかり噛めるようになっておられます。今後も多くの方がインプラントで咬合を回復されますようにと願ってやみません。